がんばってます

仮構の理想郷2

お金を払って、女を得る。でもその女は実体を持っていなくて、二人に文脈は無い。それなのにその時だけは理想の女なのだ。その時にはこの人しかいない、となって色に満ちる。気持が落ち着かなく、その緊張が他者に触れる感覚をどんどん過敏にさせていく。それによって少しのことでも動揺してしまう気持を取り繕って、向こうも同じように思っていることに何となく気付いているのは隠して、そうしていれば、もはや昂った心臓の動きや体温を厭でも感じるようなところに二人でいるしかない。寂しさが埋まるような気分がして、そのうちに全て明かして安心して眠る。限られた時間が終われば、この二人以外の者が入れば、途端に崩れて現に引き戻されるだけである。男が通うのを、女が待つのをやめれば終わる関係である。それでも、その時は本当なら、この時間を何と呼べば良いのだろう。色は道である。