がんばってます

匂い

匂いと記憶とその身体というものは三位一体のような崩れない結びつきがある感じがする。

香水をつける時は、冬が多い。飛んで火に入る夏の虫、ではないけれどそういうようなどうしようもない引力みたいなものが冬の寒さにはあって、まんまとその人や私自身がその引力に釣られて、絆されて色に走るということが冬には多かった。そういうことで私の色恋は冬にあるから、世の中夏の恋愛の曲が多くて困っている。「エモい」という言葉は夏の季語になりそうな程にそういう雰囲気がある。情動の揺らぎというものと寒さはそんなに、、

前置きが長くなってしまったが、だから匂いによって思い出す記憶は冬のことばかりだ。色恋における幸せなど不幸の誘水でしかなかった私にとっては、それは花とか雪とかそういう終わりが約束された美のような、そんな綺麗なものでは圧倒的にないが、そういうきらいがあって、そこでまた冬といえば色恋の不幸みたいなところもあり、香水をつけると、その度に何となくその憂愁を感じていた。

でも、今は冬にこの匂いがしたときにこの夏の熱を思い出すのを、本当に楽しみにしているんです。