がんばってます

晩秋

「秋」にいてよかったことを書き連ねる。

ラーメンを食べたあとの帰り道に、落ち葉を踏んでシャクシャクと音がして、もう色が抜けて葉の落ちる季節か、と秋を思った。これに関してはあまりに俗だがあまりそういうことを考えずに大学一二年は生きていたので、恥ずかしながら秋の風情よりも、自分がそういうことを感じるように努められているのに対して愉快に思った。

あとは、お風呂上がりの熱の籠った顔に秋の夜寒が当たるのが良かった。熱さを冷ますということは何にしても快である。夏にプールに入る、お風呂の後にアイスを食べる、サウナの後に水風呂に入るなどそういうものは沢山ある。でもよく考えると、これらの熱と冷の対比は、熱と冷ということ自体ではなくそれによる楽しみや美味しさの強調であるだけのような気がする。でもその夜に関しては単純に冷たさを心地良く思った。それを目的としない風情があった。狙わずに偶然に、お風呂上がりの冷たさを楽しんだからこそ、単純な冷たさに対する心地良さを持った。こういうところに秋を感じる。見たままを楽しむ季節、秋の哀愁はどうしようもなさにあるのだと思う。あとは、空も深まった澄んだ秋の空気に星が瞬いて、それも夏のようなドラマチックなものではなく、控えめに、それでも確実に綺麗に、、。これをうまく表す語彙を持っていないのが本当に悔やまれる。それと通行人もあまりいなかったのも良かった。この晩秋の風情というものを一人占めしている気分で、とても高揚した。